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風呂敷の畳み方が分からない…


今回のタイトルは、今年1月から3月までTBSテレビ系列で放送していたドラマ『俺の家の話』のセリフです。

主演は3月末で芸能界を引退された長瀬智也さん、脚本は宮藤官九郎さん。個人的に長瀬×クドカンドラマが大好きなのですが、今回は在宅医療に携わる立場としても、興味深い題材でした。
「生きていたら誰もが経験する人生の関門=介護と相続」と公式サイトにある通り、終末期の深い話が独特のテイストで表現されたドラマでした。

主人公の父で能の人間国宝でもある西田敏行さん演じる観山寿三郎が、ヘルパーさんに言うセリフが印象的でした。

「死に方が、分からないんです」
「好き放題生きてきたでしょ。毎晩、布団に入って、楽しかったぁ、このまま死んでも人生に悔いなしって思うんだけど……、2.3時間で起きちゃうの。やんなっちゃうよ。広げた風呂敷の畳み方が分かんないの……。死にたくないんでしょうね、早い話」
若いヘルパーさんがこう返します。
「自分で畳まなくていいんじゃない?
子供たちが畳んでくれますよ、だから散らかったままでいい」
「……ありがとね。だけど、そういうわけにはいかないよ、これでも父親だもの」

自分の人生は自分で畳みたい。
とても考えさせられるセリフです。

私たちも「家族に手伝ってもらえばいいのに」と軽く考えてしまいがちですが、ご本人としては今までの立場もあり急には変えられない。
子ども側も頼ってほしいけど戸惑ってしまう……。

静岡ホームクリニックのYouTubeチャンネルで新たに配信された『患者さんの家庭での役割を支える医療』では、
療養者であっても、家族としてのその人の役割は変わらない。私たちが病人を作ってしまわないように療養生活を支えて行きたい、という内容です。

『自分の家の話』について思いを深めていただくきっかけになれば、と思います。


出典『俺の家の話』(宮藤官九郎 著)
KADOKAWA (2021/4/7)