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TOP >  在宅医療の教科書 >  介護保険で受けられる介護サービスとは

介護保険で受けられる介護サービスとは


高齢者が在宅療養を始めるとき、医療と並んで重要になるのが介護保険による介護サービスです。
高齢になって要介護になった人でも、大きな病気がない場合は在宅医療を使わずに、介護保険サービスだけで療養を始めるケースも少なくありません。また、在宅で介護をする家族の負担を和らげるためにも、介護サービスは不可欠です。在宅で利用できる介護サービスについて、概要を知っておきましょう。
介護保険とは、介護が必要な人を社会で支えようということで、2000 年に導入された社会保険制度です。介護保険の加入者は、高齢になって介護が必要になったときに、少ない負担で介護サービスを受けることができます。
介護保険を利用できるのは、次のいずれかの人です。
  • 65 歳以上で、要支援・要介護の認定を受けた人
  • 40~64 歳で、がん、認知症、糖尿病、関節リウマチなどの加齢による疾患があり、要支援・要介護の認定を受けた人
介護保険で受けられる介護サービスには、自宅で受けられるもの、施設で受けられるもの、一人暮らし高齢者などの見守りサービス、介護用品レンタルや住宅改修費支給などがあります(介護保険利用の詳しい手続きや費用については、Part 3 で紹介します)。
自宅で受けられる介護サービス
①訪問看護
訪問看護師が高齢者の自宅を定期的に訪れ、日常生活の看護や医療処置、医療機器の管理などを行います(52、59 ページ参照)。
訪問看護は医療保険でも利用できますが、病状が安定している人の在宅療養では介護保険サービスを優先します。
がん末期の緩和ケア、難病で高度な管理が必要な場合など、医師の指示があるときは、医療保険での訪問看護を行います。
②訪問介護(ホームヘルプ)
ホームヘルパーが定期的に自宅を訪問し、料理や掃除、洗濯、買い物などの生活援助、食事介助、排泄ケア、入浴といった身体介護を行います。通院や外出の介助を行う場合もあります。
介護福祉士および一定の研修を受けたホームヘルパーは、痰の吸引と経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)を行うこともできます(60 ページ参照)。
③訪問入浴
身体が思うように動かせない人や寝たきりの人に、自宅で入浴の介助を行うサービスです。移動入浴車で訪問するか、専用の浴槽を自宅に持ち込んで入浴の介助を行います。
通常は介護スタッフ2 人と看護師1 人がつき、血圧や体温などを確認しながら、安全に入浴できるように配慮します。全身入浴のほか、部分浴(足浴、陰部洗浄、洗髪など)を選ぶこともできます。
入浴に関しては、訪問入浴のほかに、訪問看護や訪問介護で、看護師やホームヘルパーの介助を受けながら自宅の浴槽で入浴する方法や、介護施設へ行って入浴する方法などもあります。
④訪問リハビリテーション
クリニックや施設の理学療法士、作業療法士などのリハビリの専門職が利用者の自宅を訪問し、リハビリテーションを行います。基本的には、通所でのリハビリ(以下、デイケア)が難しく、医師が在宅でのリハビリが必要と判断した人が対象です。
リハビリの内容は、麻痺や筋力低下のある手足の機能回復、家事など日常生活動作の訓練、発語など言葉の訓練、嚥えん下げ(飲み込み)の訓練などです。入院中に受けていたリハビリを、在宅で継続するケースも多くなっています。
施設で受けられる介護サービス
①デイサービス(通所介護)
デイサービスセンターや特別養護老人ホームなどの施設に通って、生活支援などのサービスを受けるものです。要介護の人の生活の活性化、在宅で介護をする家族の負担軽減を目的としています。
利用者は朝、自宅に来た送迎車に乗って施設へ行き、施設で生活支援などを受けて、夕方また車で帰宅します。施設で行う支援は事業所によって異なりますが、体操や手芸などのレクリエーション、リハビリなどの機能訓練、昼食やおやつの介助、施設入浴などがあります。
②デイケア(通所リハビリテーション)
利用者が介護老人保健施設や専門病院などへ通い、リハビリテーションを行うサービスです。デイサービスと同じように、自宅と施設との間は車での送迎があります。
施設では、医師によってリハビリが必要と判断された人に対し、リハビリテーション実施計画書を作り、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職員がリハビリを指導していきます。リハビリの方法や内容は、施設によってさまざまです。
③ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)
数日、数週間など、期限を設けて短期間だけ施設や病院に入所して、生活介護などを受けることをショートステイといいます。
家族の病気、冠婚葬祭などで一時的に介護ができないときや、介護をする家族の負担軽減、休養のために利用するものです。短期利用が原則で、連続して利用できるのは30 日までとなっています。
ショートステイ先の施設は主に特別養護老人ホームや専用の高齢者施設など。医療の必要性が高い場合は療養病棟や介護老人保健施設に入所するケース(短期入所療養介護)もあります。
一人暮らしや家族の不在が多い家庭の見守りサービス
①定期巡回・随時対応型訪問介護看護
日中・夜間を通じて24 時間、訪問看護と訪問介護を受けられるサービスです。看護師やホームヘルパーが1 日に何度か定期巡回するほか、利用者から通報があれば随時、訪問を行います。
訪問看護、訪問介護との併用はできませんが、一人暮らし高齢者や家族が不在がちの家庭で、頻繁な看護・介護が必要な中等度~重度要介護者の在宅生活を支えるものです。
②夜間対応型訪問介護
夜間に自宅を訪問し、排泄などの生活支援を行います。夜間の定期的な巡回と、通報に応じて行う訪問介護を組み合わせたサービスで、やはり一人暮らしなどで要介護度の高い人が主な利用者です。
介護用品のレンタルや住宅改修などのサービスもある在宅療養の環境を整えることにも、介護保険は利用できます。例えば車椅子や歩行器、介護用ベッド、手すり、スロープなどの福祉用具は介護保険でレンタルすることができます。また、レンタルにはなじまないポータブルトイレ、入浴用の椅子や手すりなどは、購入費用の補助を受けられます。
さらに在宅療養のために住宅に手すりを設置したり、バリアフリーに改修したりする場合、住宅改修費の8~9 割分が介護保険から支給されます(94 ページ参照)。