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在宅診療の24時間対応について考えてる。パート1 患者体験から


訪問診療の場合では24時間対応をすることになっています。
もちろん診療報酬による部分もあるのですが、その意味について患者さんの目線から少し考えてみましょう。
今の医療のシステムでは、体調が悪くなった場合、自分たちで判断をして病院に行くと言うスタイルです。今の日本の保険制度では、どの病院でも受診することができます。
そこから考えると、病院へ行くことを選択した場合、初めて医師や看護師に会うことができるわけです。つまり体調が悪い時にしか会えないと言う職種ということです。
在宅医療を受ける方に対して、最初の説明で24時間何かあったら呼んでくださいと言うことを言いますが、実際に在宅医療以外でこのようなサービスがある事は医療以外の分野で見たとしてもほとんどないでしょう。
その言葉から患者さん側が期待する事は、例えば夜大変な思いをして救急外来に行くことがなくなるなど、言葉以上のものを期待してしまうと思います。類似サービスを受けたことがないわけなので、このような場合は初めて体験すると言うことが、このサービスにおける患者さんの理解につながることになります。いくら説明をしていても、実際に体験することにはかなわないと思います。
すると実際に夜間に電話をしてしまって、そこが例えばカロナールを飲んでくださいとか様子を見てくださいと言う答えであった場合どうでしょうか。
「24時間型サービスってこういうことだったのね」
と理解をすることになると思います。
来てくれることではなくて、電話対応ってことだったのか。
その体験はおそらく24時間の対応の意味をそのように理解してしまうことになります。
そしてその最初の経験を覆す体験をその後に、と言う事はかなり難しくなるのではないかと思います。
患者体験(patient journey)の重要性です。
また、医師と患者が直接夜間に電話をすると言うことも世の中にはほとんどありません。それが可能なのは在宅医療位です。普通の病院では、事務員に電話が行って、受診の有無を決めます。(実はここもポイント!受診の意思決定は、ここでなのです。)
場合によっては、看護師さんとの会話になるでしょう。それが直接医師に電話をできるということは非常に稀です。
逆に言うと、我々も慣れていないのです。
我々が受ける電話と言うのは、病棟での変化がほとんどであり、それでは既に診断がついていて、治療が開始された状態での変化で、病院と言うすべての医療機器があり、行為もできる、という中で、専門職同士の判断での変化です。
在宅医療では、一般の方が一般的な判断に置いてその相談をかけます。
そしてその電話をするときの想い、タイムラグも考えましょう。普通、熱が出てリアルタイムに電話が来る事はないと思います。1時間2時間様子を見て、それでようやく本当に辛いから電話をかけようとなるでしょう。そして訪問をするのにも約1時間ほどかかると思います。そうすると電話をしてから、実際に手を差し伸べられるまでは3時間4時間かかると言うことを忘れてはいけません。病院ではかなりリアルタイムで対応が可能です。同じ判断をするべきではありません。電話をかけているご家族の横には、その状態の患者さんがいます。
「どういう言葉で対応するべきか、どいう態度でするべきか、」
そういうところまで考えながら訪問診療を行っていくように心がけています。