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「医療のサポート体制」から見えてくる施設のちがい


「この施設にはお医者さんがいるの?」「どこまで介護してもらえるの?」「いざという時、ちゃんと対応してもらえるのかな?」

高齢者のための施設はたくさんありますが、それぞれに役割や仕組みが異なるため、名前だけではその違いがわかりにくいのが現実です。パンフレットやホームページを見ても、どこも「安心」「サポート充実」といった言葉が並び、かえって迷ってしまう…そんな経験はありませんか?

特に気になるのは、医療の体制と介護の範囲。「最期までここで暮らせるの?」「体調が悪くなったら誰が診てくれるの?」といった、いざというときの備えがあるかどうかは、ご本人にとってもご家族にとっても、とても大切なポイントです。

今回は、施設選びの判断材料となる「医療と介護のちがい」について、やさしく解説していきます。

住まいとしての施設、医療がある施設

高齢者の暮らしを支える介護施設はさまざまな種類があります。でも、名前だけでは実際にどんなサービスが受けられるのか、なかなか分かりにくいものです。

たとえば「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」は、どちらも高齢者向けの住まいですが、仕組みは少し異なります。有料老人ホームは介護職や看護師が常駐している場合が多く、生活支援と医療の両面でサポートを受けられる施設です。一方、サ高住はあくまで「自宅と同じ賃貸住宅」であり、介護や医療のサービスは必要に応じて外部から受ける形になります。お医者さんや看護師が常駐していないことも多いため、訪問診療や訪問看護と組み合わせて生活を支える形になります。

医療の手厚さは施設によって大きく異なります

「この施設では最期まで暮らせるのか」「体調が急に悪くなったときに誰が対応してくれるのか」など、医療との連携体制は施設選びでとても大切なポイントになります。

たとえば「特別養護老人ホーム(特養)」「グループホーム」では、基本的にお医者さんや看護師は常駐していません。そのため、定期的な訪問診療や訪問看護が欠かせません。一方、住宅型有料老人ホームでは、医療機関と提携して訪問診療が入ることもあり、体調管理の体制が整っているところもあります。

施設によっては、「医療連携加算」という制度を使って、訪問診療や訪問看護と連携しているところもあります。定期的な健康チェックや急な体調変化への対応がスムーズに行えるような仕組みが整っているかを確認しておくと安心です。

生活に合わせて柔軟にサポートしてくれる施設も

「デイサービス」「訪問介護」「ショートステイ(短期間の宿泊)」をひとつの事業所で受けられる「小規模多機能型居宅介護(小多機)」という仕組みもあります。日々の体調や家庭の事情に応じて、必要なサービスを柔軟に使い分けられるのが特徴です。

たとえば、普段は通い(デイサービス)で利用していても、体調が悪くなれば家に来てもらったり(訪問)、一時的に泊まったり(ショートステイ)といったことができます。「いつもの顔ぶれ」で生活を支えてもらえる安心感も大きな魅力です。

訪問看護には「医療保険」と「介護保険」があります

お家で受ける看護サービスには、「医療保険」でまかなうものと、「介護保険」でまかなうものの2種類があります。病気や症状に応じて、どちらが使われるかが変わってきます。

たとえば、訪問診療を受けている方が同じクリニックの看護師から看護を受ける場合は「医療保険」が使われるケースが多く、より柔軟な対応が可能です。訪問看護ステーションから来てもらう場合は「介護保険」を使うことが多く、定期的なプランに基づいた訪問となります。

看護の内容や頻度によって適切な保険を使い分けていくことが大切になります。

まとめ

一見すると似ている介護施設も、仕組みや医療の体制には大きなちがいがあります。施設の名前や見た目だけで判断するのではなく、「お医者さんは常駐しているか」「体調が悪くなったときにすぐ対応してもらえるか」「看取りまでできる体制があるか」といった“中身”をしっかり確認することが大切です。

わからないことがあれば、地域の包括支援センターや医療機関、介護の相談窓口などに気軽に聞いてみてください。

ご家族の暮らしに合った、安心できる施設選びのための第一歩になります。